製薬業界について

【2020年】世界で承認された新薬の一覧をまとめてみる!【対象疾患、特徴、企業】

2020年に世界で承認された医薬品(新薬)についてまとめていきたいと思います。また、その医薬品の対象疾患、特徴なども解説します。

果たして2020年の製薬業界の事情はどうだったのでしょうか。出典、引用:Nature Reviews,Vol20(2021)を参考に紹介します

2020年の新薬の承認数は増加!

近年、新薬開発が厳しい状況といわれている製薬業界ですが、2020年の新薬は史上第2位の承認数になったとのこと。全部で53品目と、かなりの奮闘です。

低分子(=オレンジ棒グラフ)が40個生物学的製剤(=青棒グラフ)が13個となっており、抗体医薬品に代表される最新テクノロジーを活用した新薬の割合は増加傾向にあります。この辺は時代の流れを感じますね。

製薬企業はがん領域に注目か!?

適応疾患を過去と比較してみると、がん領域の割合が増えてきています。やはり、人類最大の病であるがん領域での開発競争が激化しています。製薬企業にとっては、ここを治療できるかどうかというのが、社会的な使命になるようですね。

承認された新薬の一覧

では、承認された新薬の一覧をザッとみてみましょう。海外なのでベンチャー企業が多いですね。日本製薬会社での申請は、大塚製薬と日本新薬のみです。

般名企業適応疾患
AvapritinibBlueprint MedicinesGIST with PDGFRA Exon 18変異
TeprotumumabHorizonTherapeutics甲状腺機能低下症
TazemmetostatEpizyme類上皮肉腫
LactitolBraintree Labs慢性特発性便秘
EptinezumabLundbeck片頭痛
Bempedoic acidEsperion Therapeuticsアテローム性動脈硬化症、循環器疾患
AmisulprideAcacia手術後の吐き気と嘔吐
RimegepantBiohaven片頭痛
IsatuximabSanofi(サノフィ)多発性骨髄腫
OsilodrostatRecordati Rare Diseasesクッシング病
OzanimodCelgene/Bristol Myers Squibb多発性硬化症
SelumetinibAstraZeneca(アストラゼネカ)神経線維腫症1型
TucatinibSeagenHER2陽性乳がん
PemigatinibIncyte胆管癌
Sacituzumab govitecanImmunomedics/Gilead乳がん
OpicaponeNeurocrineパーキンソン病
CapmatinibNovartis(ノバルティス)NSCLC
SelpercatinibEli Lilly(イーライ・リリー)/Loxo OncologyNSCLC、甲状腺癌
RipretinibDecipheraGIST
Fluoroestradiol F-18Zionexaイメージング、乳がん
InebilizumabViela BioNMOSD
LurbinectedinJazz小細胞肺がん
TriheptanoinUltragenyx
LC-FAOD
FostemsavirViiV HealthcareHIV
RemimazolamAcacia処置時の鎮静
Cedazuridine; decitabineOtsuka(大塚製薬)骨髄異形成症候群
AbametapirDr Reddy’sアタマジラミ
TafasitamabMorphoSysDLBCL
Belantamab mafodotinGlaxoSmithKline(グラクソ・スミス・クライン)多発性骨髄腫
NifurtimoxBayer(バイエル)シャーガス病
OliceridineTrevena急性の痛み
RisdiplamRoche(ロシュ)/Genentech脊髄性筋萎縮症
ViltolarsenNippon Shinyaku(日本新薬)筋ジストロフィー
SatralizumabRoche(ロシュ)/GenentechNMOSD
ClascoteroneCassiopea SpA尋常性痒疹
SomapacitanNovo Nordisk成長ホルモン欠乏症
Copper dotatate Cu-64Radiomedixイメージング、癌
PralsetinibBlueprint Medicines/Roche(ロシュ)NSCLC
Atoltivimab; odesivimab;
maftivimab
Regeneronエボラウイルス
RemdesivirGileadCOVID-19
LonafarnibEigerHGPS
LumasiranAlnylam高シュウ酸尿症1型
NaxitamabY- mAbs Therapeutics神経芽細胞腫
SetmelanotideRhythm肥満に対する遺伝病
PSMA-11 Ga-68UCLAイメージング、前立腺がん
BerotralstatBioCryst遺伝性血管浮腫
TirbanibulinAthenex日光角化症
MargetuximabMacroGenicsHER2陽性乳がん
RelugolixMyovant Sciences前立腺がん
AnsuvimabRidgebackエボラウイルス
VibegronUrovant Sciences過活動膀胱

今後の期待の新薬はどれ!?

これらの中でも1つの医薬品で売上10億ドル(約1000億円)を見込める医薬品のことを「ブロックバスター(Blockbuster)」なんて言い方をします。要は、期待の新薬ということですね。これはなんと11品目!ということで素晴らしいことです。

一般名企業予想売上
(2026年)
TeprotumumabHorizon Therapeutics3.4億ドル
OzanimodBristol Myers Squibb2.5億ドル
Sacituzumab govitecanImmunogenics/Gilead2.4億ドル
RisdiplamRoche2.0億ドル
RimegepantBiohaven Pharmaceuticals1.6億ドル
RipretinibDeciphera Pharmaceuticals1.6億ドル
LurbinectedinJazz Pharmaceuticals1.5億ドル
Belantamab mafodotinGlaxoSmithKline1.3億ドル
TucatinibSeagen1.2億ドル
AvapritinibBlueprint Medicines1.0億ドル
TazemetostatEpizyme1.0億ドル

約半分が抗体医薬品ということで、この辺にも時代の流れを感じざるおえません。

コロナウィルスワクチンは!?

COVID-19のコロナワクチンは、現在、緊急承認とうことでFDAに承認されています。

したがって、正式の承認は2021年になります。直近の品目は、ファイザー社とモデルナ社のコロナワクチンですね。

一般名企業適応疾患
BNT162b2Pfizer/BioNTechCOVID-19
mRNA-1273ModernaCOVID-19

どちらもmRNAを利用したワクチンということで、製剤の保存・供給面での問題が疑問視されています。今後の他企業のワクチン開発にも期待という感じでしょうね。

まとめ

では、今回の内容をざっくりとまとめておきます。参考にしてみてください。

まとめ

  1. 2020年の承認数は史上2位の53品目
  2. 製薬企業はがん領域の開発に注力傾向
  3. COVID-19ワクチンを含め、期待の医薬品は多い

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めでぃさん
製薬企業の創薬研究にいそしむ一般人。医療業界の観点から最先端テクノロジー、進学・就職活動、経済・金融・資産運用などの情報を発信!