この記事では、コロナワクチンについて話していきたいと思います。
通常、10〜20年間もかかる新薬開発において、なぜ、コロナワクチンは1年間で開発することができたのでしょうか。
これらについてわかりやすく解説していきたいと思います。
コロナワクチンは最先端技術で開発
現在、開発されているファイザー(Phazer)&バイオンテック(BioNTech)社、モデルナ(Moderna)社のコロナワクチンは「RNAワクチン」という新しい技術によって作られたものです。
この最先端テクノロジーのおかげで、従来の新薬開発とは異なり、1年間という猛スピードでの開発に成功することができました。
もちろん、医薬品の承認期間が大幅短縮されたのも大きいですが、医療テクノロジーの発展の功績の方が大きいと思います。
コロナワクチンと従来ワクチンの違い
では、コロナワクチンで使用されている「RNAワクチン」とは、どういったものなのでしょうか。インフルエンザワクチンなどの従来ワクチンと比較して解説したいと思います。
従来ワクチン(インフルエンザなど…)
インフルエンザワクチンに代表される従来ワクチンは、毒性を弱めたor 不活化した微生物やウィルスを体内に投与することによって、病原体に対する免疫を作るという作用機序です。
対象ウィルスをそのまま体内に投与しているわけなので、獲得する免疫力も強く、免疫持続時間も長いといわれています。
ですが、ワクチン開発に関してはほぼ運で発見できることが多く、偶発的なものに頼ることが多いため、開発しづらいと一般的に言われています。
〇 従来ワクチンは製造が大変
インフルエンザワクチンの製造にニワトリの有精卵(受精卵)が用いられているというのは有名な話。
皆さんが普段食べている卵は無精卵ですよね。
- ニワトリの有精卵を作る
- 有精卵に弱毒化ウィルスを注入
- ウィルスが増えるまで培養(7~10日間)
- ワクチンを精製
インフルエンザワクチンではそこに弱毒化したインフルエンザウィルスを注入して培養するため、非常に効率が悪いし、ひとたび変異株が出てこれば一から作り直しというわけです。
また、成人1回あたりの接種量を確保するのに、ニワトリの卵が約2個必要とされており、大量生産の難しさに繋がっています。
コロナワクチン(mRNAワクチン)
RNAワクチンまたはmRNAワクチンは、もともと体の中でつくられるmRNAと呼ばれるもの(タンパク質をつくるための情報)を、人工的に製造して投与することにより免疫反応を起こすワクチンです。
これが体の細胞内に入ると、接種したRNAワクチンはmRNAとして機能し、病原体に対する免疫タンパク質を作るというわけですね。
〇 RNAワクチンは製造するのが簡単
RNAワクチンは、鋳型となる2本鎖DNAとRNAポリメラーゼ、単一核酸を37℃で2〜4時間混ぜるだけというわずか一工程で作ることが可能なんですね。したがって製造期間も短くコストも安いと言うわけなんですね。
- 鋳型DNA鎖を設計
- RNAポリメラーゼと混ぜて、37℃で放置(2~4時間)
- mRNAワクチンを精製
また、これにはもう1つ大きなメリットがあります。
それは「異なるウィルスによって感染症が起こった際でもすぐにワクチンを作ることができる」ということです。
ウィルスというのは絶えず変化していくものなので、その都度一から作っていては、早い段階で感染を防ぐことはできません。(コロナウィルスの性質はこちらの記事も参考:コロナ変異種と従来ワクチンとの違いを解説!)
〇 RNAワクチンの欠点は保存方法
欠点としては、mRNAは熱に弱いので、-80℃で保存・流通する必要があることです。
RNA分子が注射前に分解すると、投与量が不十分で有効性が損なわれる可能性があるということです。
普通の生活で-80℃の冷凍庫なんてなかなか使いませんよね。それは、病院でも同じことなので、そこがコロナワクチンの欠点だと言われています。
まとめ
今回は、コロナワクチンについて解説ささてきました。テクノロジーの進歩というのは目まぐるしいものですね。一刻もはやくコロナが収束して欲しいものです。
今回の記事の内容をまとめておきますので、参考にしてください。
- コロナワクチンはmRNAワクチンという技術で製造
- mRNAワクチンの製造は低コスト&短期間
- mRNAワクチンの弱点は超冷凍(-80℃)保存が必要なこと